大切なことは、くどいくらいに説明する ~Level2:先生が習得すべき「正しい教え方」~【第3章】【06節】
前節
相手のレベルを知るには、実際にやらせてみるのが一番 ~Level2:先生が習得すべき「正しい教え方」~【第3章】【05節】 - 「記憶」ではなく「印象」に残す授業
において、相手が理解できていることを繰り返し説明するのは、時間の無駄に
なりかねないとお話ししました。
一方で、ここで注意しなければならないのは、
「生徒は『わかった』と言っているが、本当にわかっているのだろうか」
と疑わなければならないということです。
授業で新しいことを説明して、生徒が「わかった」と言っただけで、
十分な理解が得られていると考えるのは早計です。
「わかった」と言ったにもかかわらず、実際に問題を解かせてみたらできなかった、
ということは日常茶飯事です。
ですがそんな時でも、「わかってないじゃん」と言ってはいけません。
生徒は大概、「わかる」という状態がどんなものなのかをわかっていません。
そもそも、生徒の「わかった」という言葉をそのまま受け取っていては、
先生のいる意味がありません。
本当にわかっているかどうかを確認する方法の一つが、前節でも述べたように、
「実際にやらせてみる」ことです。
実際に問題を解くことができていれば(正しいアウトプットができていれば)、
ある程度の理解は得られているものと考えていいと思います。
もう一度解説し、問題が解けるようになってこそ、初めて、先生が
「理解できたかな」と思っていいのです。
一方、問題が解けなかった場合は、もう一度説明することになります。
授業を通して伝えたい「大切なこと」は、
授業の中で、くどいくらいに何度も説明しましょう。
子供に限らずみなさんそうだと思いますが、相手の話を常に全力で聞くことは
難しいことです。相手の話の何割かは、適当に聞き流しているものです。
ですから、「しっかり先生の話を聞いていない生徒が悪い」とは思わず、
「人間はそもそもそういう生き物だ」と割り切り、何度も説明しましょう。
とはいえ、何度も、「まったく同じ説明」をされては、聞いている相手もうんざり
してしまいます。ですから、同じことを説明するにしても、言い方、例え方、
説明の仕方を適宜変えて、相手が飽きないように工夫することも大切です。
先生にとって、1つの内容をいろいろな方法で説明することは、
それほど簡単なことではないかもしれません。
そんな時は、1つの学習内容を、各教科書や学習参考書がどのように説明している
のか、参考にしてみましょう。同じ学習内容でも、教科書や学習参考書によっては、
説明の仕方が異なることがあります。
複数の説明の仕方に日ごろから注目し、説明のレパートリーを増やしておくことは、
授業で相手に合わせた説明ができるようになるだけでなく、相手を飽きさせること
なく、繰り返し説明するためにも役立ちます。
次の記事
「抽象」と「具体」の間を行き来し、その場に合った例え話を適宜引き出す ~Level2:先生が習得すべき「正しい教え方」~【第3章】【07節】 - 「記憶」ではなく「印象」に残す授業