「記憶」ではなく「印象」に残す授業

元塾講師の綴る、実践に基づいた教育論。日本の教育を、より良くするために。

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目次

最初の記事

NLPの基本前提 ~Level1:生徒との関係を構築するNLP~【第2章】【03節】

さて、前々節で出た「コミュニケーションとは何か」という話に戻りたいと思います。

 

NLP理論では、その基本前提として、

「コミュニケーションとは相手の意欲を引き出すこと」

とされています。

 

これこそ、まさに先生に求められることではないでしょうか。

先生の方から一方的に何かを教えるのではなく、

生徒自ら学ぼうという意欲を引き出すこと、

これこそが先生に求められるコミュニケーションなのです。

 

NLPを実践するうえで、基本前提がいくつかあります。

ここでは、生徒との授業で重要となるであろうNLPの基本前提をいくつか紹介します。

 

1.コミュニケーションとは相手の意欲を引き出すこと

意欲が生じれば、自然と行動が生じます、行動が生じれば自然と結果がついてきます。

生徒に何らかの結果(テストでいい点を採る、受験に合格する)を出してもらうには、

何らかの行動(授業の復習をしてもらう、宿題をやってきてもらう)をとってもらう

必要があります。相手を動かす方法には、行動に対して何らかの対価を与える、

怒鳴って半ば強制的に動かす、などさまざま考えられます。

ですが、行動するほうもさせるほうも、最も気持ちよいのは、

行動する人の意欲を引き出し、自発的に行動することではないでしょうか。

 

NLPで言うコミュニケーションとは、そのためにあるのです。

 

2.コミュニケーションは常に繰り返しおきている。

前節にて示したこちらの絵

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の通り、コミュニケーションは相手とのサイクルとして

常に繰り返し生じています。

 

それは、たとえ両者が何も話さない間であっても、

相手の表情、態度、姿勢から感じるものがある限り、続くということです。

アメリカの心理学セラピスト、リチャード・バンドラー博士は、

「コミュニケーションは9割が『非言語』の情報であり、1割が意味を持つ言葉である」

と言っています。

 

先生は、自らが発する情報のすべて(言葉、態度、姿勢、表情など)に

常に気を配ることが求められます。

 

こう聞くと、「えっ、そんなに気を使わないといけないの?無理だよ。」と思われる

かもしれません。確かに、最初のうちは意識をしないといけないため、

少し大変かもしれません。しかし、何か1つずつでもいいので、そうした自ら発する

情報を意識して変えることを繰り返すうちに、徐々に無意識にできるようになり

(これこそがプログラミングなのです)、一旦プログラミングが完了すれば、

何も話さない間であっても、自然といいコミュニケーションが取れる雰囲気を

作れてしまうようになるのです。

 

 

繰り返しになりますが、ここでのポイントは、

言語だけがコミュニケーションツールではないということです。

 

例えば、生徒になにか質問をして、その答えが間違っていたときに、少し怒った口調で

「えっ、なんで!?」

と聞きかえす先生をよく見かけます。

 

そのとき生徒は、言葉だけを聞けば、答えの理由を聞かれただけなのですが、

実際には、

「あ、自分は間違ったのだな」

と察し、自分が考えた理由を説明する前に他の答えを考え出してしまいます。

 

勉強において大切なことは、正しい答えを解答することではなく、

正しい答えを導く道筋を理解することです。

 

ですから、「そう考えた理由」を生徒に考えさせる機会を1つ失うことは、

大きな損失です。

 

「なんで?」と聞くときの表情、声のトーン1つ1つに気が配れるようになれば、

先生として高いコミュニケーションスキルの1つを習得できたといえるでしょう。

 

3.あなたのコミュニケーションの意味は、相手の反応でわかる。

上図で示したように、私たちが発した情報を相手が受け取り、何かを感じ、

考えた上で相手の反応、情報が返ってきます。その反応こそが、私たちが発した情報に

対する結果なのです。

 

先生がいくらわかりやすい説明をしたところで、生徒が怪訝そうな顔をしていたら、

相手には伝わっていないことになります。

 

そのときは、決して相手に非があると考えず、自分自身の言動を変えなければなりません。

 

「相手が理解できるように話しただろうか」

「相手の言葉を使って説明できただろうか」

「相手のことを尊重していただろうか」

 

と振り返り、自らの伝え方を変える工夫をしましょう。

 

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