「記憶」ではなく「印象」に残す授業

元塾講師の綴る、実践に基づいた教育論。日本の教育を、より良くするために。

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目次

最初の記事

ラポールを築く(ペーシング) ~Level1:生徒との関係を構築するNLP~【第2章】【04節】

本節からは、相手とのラポールを築くための具体的なNLP技法を紹介していきたいと思います。

 

人間は誰しも、自分と似ている、近いと感じる人に対して、「親近感」を感じ、

ラポールを築きやすくなります。

 

では、相手に親近感を感じてもらうには、どのような工夫ができるでしょうか。

 

実はこうした工夫は、みなさん意識しなくとも自然と行っていることがあります。

 

例えば、赤ちゃんや小さい子供と話をするときです。

あなたが小さい子供に話しかけるとき、どのような話し方をするか、

考えてみましょう。

 

 

小さい子供を連れて公園を歩いていたら、

向こうから犬がこちらに向かって歩いてきたとします。 

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その時、あなたは子供に何と言うでしょうか。

 

きっと

「犬が向かってくるよ」

と、普通に話しかけるのではなく、

「ワンちゃんがこっちにくるね」

と、子供の言葉を使って話しかけるのではないでしょうか。

 

さらに、姿勢も立ったままではなく、しゃがんで、目線を子供にそろえる人もいるでしょう。

 

このように、相手に合わせてコミュニケーションをとることをペーシングと呼びます。

 

特に、相手のしぐさや姿勢をそのまま真似してしまう方法があります。

これをミラーリング(相手のしぐさや姿勢を鏡に映したかのように自分が表現する)

と呼んでいます。

 

ペーシングやミラーリングは、相手に親近感を感じてもらい、

いずれラポールを築いていくための基本的なコミュニケーションスキルです。

では、授業においてどのようなペーシングができるのか、

1つ1つ紹介していきましょう。

 

1.姿勢

コミュニケーションをとりたい相手の姿勢に自然とそろえることで、相手が無意識のうちに親近感を感じやすくなります。例えば、相手が腕組みをしながら何かを考えているとき、こちらも自然と腕を組んで一緒に考えているそぶりを見せる、あるいは、相手が首を傾げたら、同じように首を傾げるといったことです。

 

2.動作

姿勢と同様に、動作も相手に合わせることで、相手との心理的距離を縮めることができます。例えば、生徒が黒板の一部を指さして何かを説明し始めたら、先生も黒板を同じように指さして話を聞く、あるいは、生徒が手で「このくらいの大きさ」のように何かを表そうとしたら、先生も同じように手でそれを作り、「これぐらいの大きさ?」と確認する、といったことです。

 

3.話し方・声

話すスピード、発生の癖、声の大きさ、声のトーンは人それぞれです。さらに、自分のそうした特徴は自分自身ではあまり意識していないものです。例えば、自分よりも話すスピードが遅い人と会話をしていると、「この人はおっとりしているな」と感じ親近感は生まれにくいですし、逆に自分よりも話すスピードが早い人と会話をしていると、「このひとはせっかちだな」と感じ、やはり親近感は生まれにくい者です。声の大きさ、トーンに関しても同様です。先生は生徒に話し方や声の特徴を合わせることで、自然と生徒に親近感を感じてもらうことができます。

 

4.呼吸・テンポ

呼吸の速度や、動作のテンポも、自分自身ではほとんど意識していないだけに、これらも自然と相手にそろえることで、よりラポールを早く築きやすくなります。

 

5.言葉

相手の発言の中に、特徴的な言葉が含まれていることがあります。例えば、問題を解くことを「問題をやる」と生徒が表現した時は、先生もそれに合わせて、「うん、やってみて」と言葉遣いをそろえることができます。こうした、相手の特徴的な言葉遣い1つ1つもそろえることで、より親近感を得やすくなります。

 

6.感情

生徒は子供ですので、授業中も感情をストレートに表現することが多いです。その時は、例えば、生徒がそれまでわからなかった問題がわかるようになって、興奮気味に解き方を説明し始めたら、先生も少し興奮気味に、「そう!、そう!、そういうこと!!」というように、感情の起伏を相手に合わせて聞いてあげることができます。

 

いずれも、相手に親近感を感じてもらうために使われるペーシングの一つで、

「自然に先生と生徒のペースが一致している」

ように振る舞うことが大切です。

 

ここで注意したいのは、相手に不快感を与えたり、不信感を与えるほど、ぴったり真似をする必要はないということです。

 

そうなってしまっては、ペーシングの効果が全くありませんし、むしろ逆効果になってしまいます。

 

あくまで、「自然に合っている」ような状況を作ることが目的です。

 

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