相手は「子供」である ~「生徒の印象に残る授業」実践への道筋~【第1章】【04節】
以前の記事で、こちらの絵を示しました。
このピラミッドにおいて土台となる2つの基本的なスキル
「生徒とのコミュニケーションスキル」
「わかりやすく伝えるスキル」
を身に着けられれば、先生としては十分合格、むしろそれだけでも
「いい先生」
と呼ばれるようになるのではないかと思います。
ここからさらに欲張って、「生徒の印象に残る授業」を目指すには、
どうすればいいのでしょうか。
そもそも、印象に残るのは、いったいどんな時でしょうか。
以前の記事で、印象に残っている授業について質問しましたが、
今回は授業ではなくても構いません。
どんな場面でも結構ですので「印象」に残っていることを
なにか思い出してみてください。
特に強く印象に残りそうなことと言えば、
- 好きな人に告白された。
- 一生懸命勉強して、ついに大学受験に合格した。
- 仲の良かった友人と突然離れ離れになることになった。
といったようなことが考えられるでしょうか。
では、それは、なぜ印象に残っているのでしょうか。
ちなみに、「印象」を広辞苑で調べると、次のように書かれています。
いん-しょう ・・シヤウ 【印象】(impression) ①強く感じて心に残ったもの。感銘。「―が強い」「よい―を与える」②[美]対象が人間の精神に与えるすべての効果
そうです。
「頭」に”記憶”させられたのではなく、
「心」に何かを強く感じることで、印象が残るのです。
そして、心が何かを感じるというのは、喜び、驚き、悲しみなどの
感情が生じることです。
良くも悪くも心が揺さぶられた瞬間、感情に大きな振れがあった瞬間に、
印象が残るものなのです。
では、喜び、驚き、悲しみといった感情を生じやすい人は、
いったいどんな人でしょうか。
そう、まさに感受性の高い「子供」なのです。
子供は、大人なら何とも思わないようなことでも、喜びや驚きを感じます。
ですから、先生の授業の相手が感受性の高い「子供」であることを認識し、
子供は特にどんなことに興味・関心を示し、どんなことに喜びや驚きを感じるのかを
理解し、さらにそれを授業に取り入れるよう工夫することで、
「印象に残る授業」を実践できるようになるのです。
これに加えて、生徒一人一人の個性にまで着目して、それを引き出すような
授業ができれば、生徒の感情の高まりは最高潮に達し、
「印象に残す先生」としてスペシャリストと呼べるでしょう。
目指すべきところは、いわば、
「生徒の特性を理解し、その生徒のためのオーダーメイドの授業を行う」
ことなのです。
相手(子供)の特性を理解し利用することが、先生としての「応用問題」、
ピラミッドで言う最上部に相当します。
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