「記憶」ではなく「印象」に残す授業

元塾講師の綴る、実践に基づいた教育論。日本の教育を、より良くするために。

当サイトの記事は、書籍のように最初から通読いただくことを想定しております。

もしよろしければ、ぜひ最初からご覧いただければと思います。

目次

最初の記事

リーディングを理解し、応用する ~Level1:生徒との関係を構築するNLP~【第2章】【07節】

授業における生徒との対話に限らず、

一般的に、考えの異なる相手に自分の考えを理解・同意してもらうために、

リーディングは非常に有効です。

 

下の絵をご覧ください。この図では、2人の人間が1つの物事を考えているときの

  • 各々の考えるスタート地点
  • 各々の到達する結論
  • 各々が結論に達する思考過程

の3つの要素に分解して描いています。

 

自分と相手との間で考えに相違がある場合、おおよそ2つのパターンがあります。

 

1つはそもそもお互いの考えのスタート地点が異なり、それぞれの思考によって考えを進めていくため結論が異なるケース①。

 

もう一つは、考えのスタート地点は同じであるにもかかわらず、それぞれの考え方が異なるために結論がずれてしまうケース②です。

 

相手をリードするに当たり、②の場合は議論のスタート地点が一致しているので、そこを起点にリーディングを始めればいいのですが、そもそも①のように、スタート地点すら異なることもあります。

 

勉強においては、

1.正しい前提を認識し、(スタート)

2.正しい論理に則って考え、(道筋)

3.正しい答えを導く、(ゴール)

ことが必要であるため、①のケースの場合は、まずは相手の考えの

(誤った)スタート地点を自分の(正しい)スタート地点に導くようリーディングし、

その後、正しい結論へリードすることになります。(図の①-1に相当)

 

f:id:autobiography:20140906203234j:plain

 

f:id:autobiography:20140906203244j:plain

説得、説明の仕方① -1

まず初めに自分の説明のスタート地点へ相手をリーディングし、

その後自分の理論に沿って結論まで相手をリーディングする

ただし、この方法では相手の考えを受け入れる機会が少なくなり、

説明される側の納得度は低くなりがちである。

場合によっては、2の手法により相手をリーディングする。

 

少し話が逸れますが、ビジネスでの交渉や、プライベートで相手に自分の考えに同意してほしいようなとき、もし相手と①のケースになった場合、議論のスタート地点からいきなり自分の考えにそろえるようにリードすると、相手の反発心を生みかねません。そのような場合、スタート地点は異なったまま議論をスタートすることもありえます。

 

つまり、相手の考えるスタート地点にこちらが合わせて(たとえそれが自分の本意ではなくても)、そこを起点に議論をリードし、徐々に自分の考えている道筋へ導くのです。(図の①-2に相当)

 

その道筋では、できるだけ相手の考えを尊重し、取り入れます。そして、結論は自分の望む方向にリードする。大切なことは、「あなたの考えている前提は理解して、同意している」ということを明確に示すことです。こうすると、相手は自分の考えを一旦受け入れられた後にリードされているので、その後のリードに従いやすくなります。

f:id:autobiography:20140906203255j:plain

説得、説明の仕方① -2

相手の主張のスタート地点は認めつつ、

論理展開の中で、徐々に自分の主張したい結論へ導く。

説明される側の納得度を高めるためにも、相手のスタート地点に自分が

合わせる。 

また、論理展開の中でも、出来る限り相手の考えを尊重し、

取り入れることで、相手の同意は得られやすくなる。

 

これはリードする側としては少々大変な方法ではありますが、

相手の心に反発心を生むことなく、自分が納得させたい方向に相手を上手く導く

ことができる1つの方法として、「そんなテクニックもあるんだな」と、

覚えておくと良いかと思います。

 

実際にプライベートで使えば、

これまでイマイチ理解を得られていなかった相手に対しても、

あなたの思うとおりに誘導できるようになるかもしれませんよ。

 

 

f:id:autobiography:20140906203359j:plain

 

f:id:autobiography:20140906203408j:plain

説得、説明の仕方②

思考のスタート地点は揃っているので、

そこから相手の考えを受け入れながら、徐々に自分の考えへ

リーディングする。

 

次の記事

人間は自分の考えを否定されたくない【第2章】【08節】 - 「記憶」ではなく「印象」に残す授業

 

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...