「記憶」ではなく「印象」に残す授業

元塾講師の綴る、実践に基づいた教育論。日本の教育を、より良くするために。

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目次

最初の記事

生徒を導くプロセス ~Level2:先生が習得すべき「正しい教え方」~【第3章】【03節】

では、もし生徒が誤った方向へ向かってしまいそうになったとき、

もしくは生徒の方から質問があった時、どのように「教える」とよいのでしょうか。

 

本節では、「教える」プロセスを解説したいと思います。

イメージをこちらににまとめました。

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これは、生徒に対して教えるときだけでなく、誰かに対して何かを伝えるときも、

考え方は一緒です。

 

  1. 相手の疑問・質問に対し回答する際、また問題を考え込んだままの生徒に解説する際には、まず相手がおかれている状況を確認します。例えば授業において生徒の勉強を教える場面であれば、
    • 生徒は問題の中のどこで詰まっているのだろうか?
    • 類題の説き方をイメージしながら考えているだろうか?
    • (国語の文章題であれば)いま注目している段落はどこだろう?
    • (生徒が自ら書き進めようとしているグラフや絵を指して)「その図について、説明してもらえるかな?」
  2. もし相手から質問を受けた場合、相手の質問を鵜呑みにせず、「真の質問は何だろうか?」「行き詰っている根本の原因は何だろうか?」という点を意識しながら、相手の考えを聞き出します。真の問題の仮説を一つ一つ確認することで、行き詰っている根本の原因を把握します。
    • 「じゃあ、まずは自分で考えたところまで、説明してもらえるかな?」
    • 「そうか、さっきの問題にあった▽▽が、今回の○○に対応すると思ったんだね。」(わからない原因の特定。生徒の質問内容からはずれているかもしれない)
    • 「つまり、▽▽だと思ったから、答えが□□だと考えたんだね。」(それが間違っていたとしても、まずは相手の考えを要約して確認、受容の姿勢を見せる。)
  3. 原因が把握できれば、正しい説明を始めるスタート地点、相手の理解のレベル感をそれとなく確認します。
    • 基本的なことから、1つ1つ理解を確認してみる。
      • 「こういう問題を解くときは、まずどうするんだったっけ?」
    • 「前回の授業で説明した○○は覚えてる?」
      • (もし覚えていなければ)「じゃあ、前回の授業の復習からもう一度やろうか」
      • (もし覚えていれば)「今、それを思い出しながら考えた?」
  4. 相手が「納得」してくれるまでのイメージを描きます。先生の頭の中で、
    • 「もう一度前回の授業の復習をして、基本を確認した後で説明しないといけないな」
    • 「生徒が考えられたところまでは合っているから、そこから先をリーディングすればいいな」
    といったような、リーディングの道筋を描くことができればOKです。
  5. イメージに沿って相手の理解を確認しながら説明するプロセスを繰り返すことで、相手の自然な理解につなげていきます。第2章で説明した、「リーディング」を行います。繰り返しになりますが、「一つ一つ」「相手の言葉で」「押しつけず導く」ということを意識しましょう。

 

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教えるときにやってはいけないこと ~Level2:先生が習得すべき「正しい教え方」~【第3章】【04節】 - 「記憶」ではなく「印象」に残す授業

 

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