「記憶」ではなく「印象」に残す授業

元塾講師の綴る、実践に基づいた教育論。日本の教育を、より良くするために。

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目次

最初の記事

NLPの授業への応用『先生は全てを受け入れろ』 ~Level1:生徒との関係を構築するNLP~【第2章】【09節】

さて、話を授業に戻しましょう。

 

「受容と共感」は肯定でも否定でもないということをお伝えしました。

 

これは授業であれば、先生の質問に対して生徒が正しい解答をしたか、

誤った解答をしたか、ということは問題ではないということです。

 

生徒が自ら考えて導き出した答え、およびその考え方を、

まずは先生が「受け入れたかどうか」が問題なのです。

 

もし生徒が正しい答えを導いた場合は、それを受け入れ、

正しいということを伝えるだけですので、難しいことはありません。

 

もし生徒が誤った答えを導いた場合に先生がどのような対応をするか、

これが生徒の「受容と共感」を満たすうえで重要なポイントとなります。

 


先生にとって「受け入れる」とは、具体的にどうすることなのでしょうか。

 

 

例えば、もし生徒が誤った解答をした場合、

「どうしてそのように考えたのか」

をさらに聞きだし、誤った解答に行きついた原因を突き止めようとするのでは

ないでしょうか。

 

まずはその「誤った答えに至った思考過程」を「受け入れ」ましょう。

 

先生:なるほど、○○君は、~~~~のように考えて、

   答えが××だと思ったんだね。

 

といった具合にです。

 

これは決して「それが正しい」と伝えているわけではありません。

先生が心の中で、

「この生徒は、ここで考え違いをして間違ったのだな。」

と心の中で納得し、受け入れるのです。

 

そして、「なるほど」といった言葉で、生徒が説明してくれた内容を先生側が

理解して受け入れたことを表現しましょう。

 

この「なるほど」という言葉は非常に便利です。

相手の発言内容が正しくても誤っていても、一旦は

「自分はあなたの言っていることを理解しました。」

ということを表明できるからです。

 

生徒の考えを受け入れた後は、前々節

リーディングを理解し、応用する ~Level1:生徒との関係を構築するNLP~【第2章】【07節】 - 「記憶」ではなく「印象」に残す授業 

で例を示したようにリーディングを行い、

徐々に生徒に自ら、正しい考えに気づかせてあげましょう。

 

 

また、答えに至った考え方を生徒に聞いている際に、

その途中で先生が誤りに気付いた場合、どのような対応をすることが

生徒に対する「受容」になるでしょうか。

 

例えば次のように、生徒の説明に割って入って説明を始める先生、よくいませんか。

 

生徒:えーっと、○○が、□□になるから、・・・

先生:えっ、なぜ□□になるの!?前回似た問題説明したじゃん!

 

このような反応をされたとき、生徒はどう感じるでしょうか。

 

自分の考えを一通り説明したわけでもないのに、すでに考え方を否定されています。

みなさんも、自分が話しているときに誰かに、「いやいやそうではなくて・・・」と

否定しながら割って入ってこられたら、決していい気分ではないですよね。

 

特に子供は、自分の考え方が間違っていることを先生から指摘されると、

正しい考え方に沿ってもう一度考えようとする前に、あてずっぽうでもいいから

いち早く正しい答えを出そうとし、「正しい道筋で考える」ことを放棄しがちに

なります。ですから、ここは慎重に対応する必要があります。

 

先生の方から「どうしてそのように考えたの?」と聞いた以上、生徒が仮に途中で

間違ったことを言い始めても、生徒の考えを全て聞いてあげて、受け入れてから、

改めて先生が説明を始める、それくらいの余裕を持ちたいものです。

 

生徒:えーっと、○○が、□□になるから、・・・

先生:なるほど、○○が、□□になると思ったんだね。

   (ここで生徒の間違いに気付く)

   (どのようにリーディングをするか、少し考える。)

   よし、じゃあ、この問題は複雑だから、少し整理してみようか。

 

このように先生が対応してあげれば、まずは生徒は自分の考えを話し、

それを全て先生に聞いてもらい、わかってもらえたという点で、

1つ満足感を得ることができます。

 

そのうえでリーディングを続けていけば、生徒も自然と、

「もう一度考えてみようか」という気分になりやすいものです。

 

いままで、相手の間違いに気付いた時点で、何かしらの突っ込みを入れていた方に

とっては非常にまどろっこしいかもしれません。

 

確かに、相手の話を聞いている側としては、それが楽なのです。

 

しかし、ここでぜひ、

「自分が相手の話に対して突っ込むことで、相手はどう感じるか」

という点を考えてみましょう。

 

「否定」をすると、自然と対立心が生まれます。

そうではなく、「受容を示す」ことで、相手の心を乱すことなく、

正しいことを伝え、理解してもらいましょう。

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次の記事

NLPの授業への応用~先生は生徒に負けることを恐れるな~【第2章】【10節】 - 「記憶」ではなく「印象」に残す授業

 

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