先生は大事なことほどノートに書かかない生き物? ~Level3:子供の特性の授業への生かし方~【第4章】【コラム①】
私自身、長年教育を受けてきた過程で一つ気づいたことがあります。
それは、「先生は(生徒にとって)大事なことほど黒板に書かない」ということ
です。
先生は(私自身が講師をしていた時もそうでしたが)、
その日の授業の中で教えるべきことを事前に整理し、授業のポイントとなる点、
必ず生徒に理解して覚えてほしい点を、板書にも必ず書こうと準備をします。
そして、その通り授業を実施し、先生は満足します。
しかし、先生の思考回路と生徒の思考回路は異なるため、先生としては
「今日の授業のポイントは○○」
というように黒板にポイントを強調して書いたとしても、それが生徒には
十分伝わらず、理解が得られないことは多くあります。
生徒がいまいち腑に落ちていないような顔をしていたら、もちろん先生はそれを
見逃さず、更なる説明を加えることになります。
板書に何かを書き足したり、補足としての図を描いたりしながら、
生徒にわかるようにもう一度説明を行い、その結果、生徒がしっかり理解してくれた
とします。
その場合、生徒にとって重要なのは、先生が最初に書いた板書における「ポイント」
ではなく、先生が後から補足として書き足した説明や図なのです。
つまり、先生が授業を通して伝えたい「大事なこと」と、
生徒がその「大事なこと」を理解するために必要だった「大事なこと」は異なる
ということです。
この場合、後者の、生徒が授業を理解するために必要な「大事なこと」こそが、
生徒にとってのその授業におけるポイントであり、生徒にとって最も「大事なこと」
なのです。
こうした補足説明によって生徒が理解してくれた際には、その補足説明こそが
本来先に説明、板書すべき内容であったと反省し、それらを改めて綺麗に
整理・板書し、生徒にノートへ書き写してもらうよう、促すべきなのです。
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