NLPの授業への応用『結果よりも行動を、行動よりも能力を、能力よりも人間性を褒める』 ~Level1:生徒との関係を構築するNLP~【第2章】【11節】
先生が生徒を相手に授業をしているときに避けて通れないことは、
生徒を褒めることと叱ることです。
「褒める」「叱る」とは簡単に言うものの、
「どう褒めるのか?」
「どう叱るのか?」
ということについて、深く考える機会はあまりないかと思います。
ここではNLPに基いて、
「どう褒めることがいい褒め方なのか」
「どう叱ることが良い叱り方なのか」
ということについて紹介したいと思います。
まずはこちらの絵をご覧ください。
この真ん中のピラミッドは、NLPの分野でトレーナおよびコンサルタントを
務めているRobert Diltsが考えた、「意識の5段階」を表しています。
NLPの分野では、「ニューロ・ロジカル・レベル」とも呼ばれ、
さまざまに活用されています。
ニューロ・ロジカル・レベルの5段階は次のようになっています。
- 環境レベル(その人の周りの環境はどうか?)
- 行動レベル(その人はどんな行動をとったか?)
- 能力レベル(その人はどんな能力を持っているか?)
- 信念や価値観レベル(その人はどんな信念や価値観を持っているか?)
- 自己認識レベル(その人はどんな人か?)
これら5レベルのうち、
褒めるときには上位のレベル(「能力」「信念/価値観」「自己認識」)
に注目して、
叱るときには下位のレベル(「環境」「行動」)
に焦点を当てて叱るとよいとされています。
例えば、宿題をしっかりやってきてくれた生徒を褒めるとき、
あなたはどのように褒めるでしょうか。
このときの褒め方をニューロ・ロジカル・レベルの5段階に当てはめると、
次のようになります。
- 環境レベル:「宿題が解かれているね」
- 行動レベル:「しっかり宿題をやってきたんだね」
- 能力レベル:「部活も忙しいのに、しっかり勉強時間を確保できているんだね」
- 信念/価値観レベル:「約束を守ってくれているね」
- 自己認識レベル:「真面目でしっかりしているね」
いかがでしょう。上位のレベルの褒め方になるにつれて、褒められている方も
うれしくなりそうではないでしょうか。
逆に言うと、「宿題をやってきた」という事実だけを褒めても、
あまり生徒の心には響かないということです。
相手の「印象」に残す褒め方をするには、
「相手がどんな人間か」
という点に踏み込んで褒めることが効果的であることがお分かり頂けるかと思います。
一方、叱るときはいかがでしょうか。
こちらも、ニューロ・ロジカル・レベルの5段階に当てはめてみましょう。
- 環境レベル:「宿題にしていたページが真っ白だね」
- 行動レベル:「宿題をやってきていないね」
- 能力レベル:「勉強時間を作ることができていないね」
- 信念/価値観レベル:「約束を守れないね」
- 自己認識レベル:「不真面目でだらしないね」
みなさんがこのように叱られたら、いかがでしょうか。
環境レベルや行動レベルで叱られるのであれば、まだ耐えられると思いますが、
上位のレベルで叱られると、心がギュッと締め付けられ、傷ついてしまうのでは
ないでしょうか。
叱るときに上位のレベルに焦点を当てると、相手が人格、自己重要感を
傷つけられた印象を持ち、「宿題をやってこなかった」ということを反省する
どころではなくなってしまうのです。
褒めるときは「能力」「価値観/信念」「自己認識」に、
叱るときには「環境」「行動」に焦点を当てることで、
「褒め上手」「叱り上手」に近づくことができるのです。
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